臆病者のシーソーゲーム(仮)
私は、読んでいた本にしおりを挟んで、
「言ったね」とただ一言答えた。
「俺さ……」
本を閉じて隣の須藤悠の顔を見れば、
奴は空をジッと見たままで、
サラサラっと吹く風が、
奴の綺麗でサラサラな黒髪を攫っていく。
「あの時…
屋上から飛び降りて死のうとしたんだ…」
風が止んで、その言葉だけしっかりと聞こえた。
『ちゃんと聞いて』と、須藤悠本人と風が訴えるように……
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