臆病者のシーソーゲーム(仮)
「結構ハマるよ。
キャラとかも個性的だし、技とか取得すると面白いし」
やっている人から聞くと興味が出てくる。
今は金欠だし、来月にテストあるから無理そうだけど、
夏休みになったら欲しいな…
ボケッとこれからのお小遣いの使い方や予定を考えていると、
「……………椿……家来てやってみる?」
悠から提案されたその言葉。
私は空を見上げていた顔を、
隣に居る悠に向けた。
私たちは屋上で過ごす友人で、
ここ以外の場所で一緒に過ごした事が無い。
私たちは中学3年生で、
思春期の私たちは異性の家に遊びに行く事を意識してしまう。
でも、今私たちを繋げているのはゲームの話題で、
友人を家に招いてゲームするなんて普通の事なのかもしれない。
悠は純粋に『心を許せる友人と家でゲームをする』という事を楽しみたいのだろう。
悠の事を『友人』としか思って無くて、
悠も私を『友人』としか思って無い事もわかる。
なのに…それなのに、私の心は一気に異性としての関係性を意識してしまう。