新緑の癒し手
厄介な肉体。
一時期はそのように考えたこともあったが、父親と母親が愛し合い自分が産まれたと思うと両親を責めるわけにはいかない。それに、フィーナを頼むことのできる良き親友も側にいる。
「貴女は、これを……」
囁くように呟く言葉は、聞いて欲しい相手の耳に届くことはない。だからといって永遠に隠し通せるものではないし、その時期を迎えたら疑問を抱かれるに違いない。ダレスは彼女の側にいなければいけない人物で、一時的であっても姿を消すというのは裏切り行為に繋がる。
そして――
突き付けられる現実は時に非情な一面を露とし、その中でもがき苦しんでいる者を追い詰める。まるで出口の無い迷宮に放り込まれ、それでも必死にありもしない出口を捜しているような感覚に陥りダレスの思考を混乱させていき、結果感情は昂ぶりダレスの姿を変貌させていく。
ああ、どうすれば。
いまだに、それについての正しい解答はない。