チョコレートコスモス・アイズ
涼は、キッカが職員室にいなかったため、迷いなくカウンセリングルームに向かった。ここに常駐しているスクールカウンセラーに、キッカが何事かを相談しているのを知っていたからである。涼は、きっと彼女が自分への対応の仕方について悩みを打ち明けているのだろうと思っていた。
しばらく、花の写真が飾られたカウンセリングルームの近くで待っていると、果たしてキッカが出てきた。涼に気づかず、年配の女性カウンセラーに挨拶をしている。ドアが閉められ、キッカが一人になると、涼は彼女の前に立ち、無理やりその華奢な腕を引っ張った。
「キッカ、来て」
「どうしたの、国武くん。そんなに引っ張らないで。あなた、自分が思っているより力が強いのよ」
キッカは引っ張られて、小脇に抱えた宿題のノートを落とさないようにするのに懸命で、涼の悲痛な顔は見ていないようだった。
しばらく、花の写真が飾られたカウンセリングルームの近くで待っていると、果たしてキッカが出てきた。涼に気づかず、年配の女性カウンセラーに挨拶をしている。ドアが閉められ、キッカが一人になると、涼は彼女の前に立ち、無理やりその華奢な腕を引っ張った。
「キッカ、来て」
「どうしたの、国武くん。そんなに引っ張らないで。あなた、自分が思っているより力が強いのよ」
キッカは引っ張られて、小脇に抱えた宿題のノートを落とさないようにするのに懸命で、涼の悲痛な顔は見ていないようだった。