実愛


‘優也くん好きです。付き合って。’
ストレートにそれだけをメールで打った。
本当は直接言う方がいいんだろうけど
そんな勇気なんかでなかった。気持ちを
伝えることに精一杯だったの。
優也くんからOKがもらえるとは思ってない
けれど気持ちは受け取ってくれるだろう。
そんな感じだった。

その夜はメールが帰ってこなかった。
気持ち悪いとか思われちゃったのかも
しれない。寝たのかもしれない。何があった
のかわかんないけど複雑な気持ちだった。

朝目覚めたら1件メールが届いていた。
優也くんからだった。すごく手が震えて
見たいのに手が動かない。
でも見ないと前に進めない、そう思った?
私はゆっくりとボタンを押した。
メールにはこう書いてあった。

‘かなこちゃん、ありがとうね。
かなこちゃんの気持ちすごく嬉しいよ。
でも少し時間をちょうだい?ほんの少し
だけでいいから!まっててください。’

すぐに断られてしまうと思ってた私にとって
思いもよらぬ返事だった。
でもOKされたわけではない。ふられることも
考えてなければならない。それでもすごく
嬉しかった。
優也くんから返事を待とう。そう強く
決心した。

優也くんからメールの返信がきたのは
3日後だった。今度こそ。
そう思ったら、前よりも手が震えた。
携帯を強く握り締めて返事をみることに
した。
‘かなこちゃん、俺とかなこちゃんの家の
中間地点らへんの公園あるじゃん?
そこにきてください。’

多分あの北公園のことだろう。
急ごう。優也くんが待っているはず。
私は自転車をはしらせた。
優也くんのもとへ早く行きたくて。

北公園に着いたらブランコのところに
優也くんがいた。
「優也くん…」
「あ、かなこちゃん。ごめんね、こんな
とこに呼び出して。」
「ううん!全然!」
優也くんの顔が見れなかった。でも、
わかってた。ふられるんだって。
ふられるんだって、わかってたのにそんな
ことわかってたのに涙があふれでた。
「え!?かなこちゃん!?なんで泣くの!?」
そんなことわかってるくせに。
どうせふるなら早くふってよ、ばか。
「もしかして告白の返事NOだと思って
ここにきたの?」
え?どういうこと?そうじゃないの
「そうだとしたら、本当に可愛いなあ。
かなこちゃん、君から言わせてしまって
ごめんね。俺もかなこちゃんが好き。
付き合ってください。」
ふられると思ってたのにそうじゃなかった。
優也くんは私の事を好きって言った。
信じらんなくて何が起きたのか理解できな
かった。
「かなこちゃん?俺じゃだめかな?」
「そんなことない!大好き!よろしく!」
「あはは。嬉しいな。よろしくね♪」
わ、びっくりしすぎて変な事言っちゃったよ。
でも、本当に嬉しい。私優也くんの彼女に
なるんだ。嬉しい。

その日の夜は嬉しくて眠れなかった。



次の日の朝家をでようとしたら優也くんから
電話がかかってきた。
「もしもし?」
「もしもーし♪かなこちゃん早くでてこい」
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