学園王子様は、俺様です。


…本当に優斗さんのことは慣れてきた。




ただ……なかなか『お父さん』とは呼べなくて。



…きっとお母さんは、あたしのこの気持ちに気づいてるから、『優斗さん』て呼んで、って言ったんだと思う。







「ふぁ〜っ
おはよう、美香子、朱里」




ちょうど優斗さんが起きたみたいで、降りてきた。




…結婚してから優斗さんは、お母さんを『美香子』と呼ぶようになり…



あたしは『朱里』って呼ばれるようになったんだ。




優斗さんも…頑張って勇気を出して、そう呼んでるはず。




…あたしも、頑張ろうかな。





「…ゆ、優斗さん。

お、おはよぅ…」





絞り出す声で言ってしまって、ダメだったかも…と思ったけど…




「…ありがとね」




優斗さんは、優しくあたしを見つめてくれた。
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