学園王子様は、俺様です。
「だいたい、飯倉さんを泣かせたくせに、なんで偉そうなわけ?」
成田くん…、
あたしが泣いてたこと言わないでほしかったんだけど…。
でも、黙ってと言われたから黙るしかない。
「それは、俺のせいなんだろ?」
「そうだけど?
わかってんなら…」
「だったらお前関係ねーし」
___グイッ
「…っ!?」
腕を持ち上げられたから、顔をあげる。
__ドキっ
…北村くん。
「…走るぞ」
あたしの耳元でそう言った途端…
「…わ!?
き、北村くんっ!?」
北村くんは、あたしを引いたまま走り出した。
…ちらっと成田くんを見ると…
(がんばれ)
と、口パクでそう言っていた。
が、頑張るって、何を?
…だけど、あたしに北村くんと話すチャンスをくれたことが、
あたしは嬉しかった。
…けど。
やっぱり北村くんに冷たく言われたのが、まだ頭に残ってて…
また話してズキンとするのかな…。
…なんてことも思いながら、あたしは北村くんに引かれて走り続けた。