学園王子様は、俺様です。
「…ここでいいか」
北村くんが走るのをやめて、あたしの方を振り返る。
目が合った瞬間、
「…ごめんな」
北村くんが、謝ってきた。
「…えっ」
まさか北村くんが、謝るなんて思わなくて、
つい「えっ」と、言ってしまった。
「泣いてたんだな…
俺のせいで、ホントごめん」
そう言って、北村くんはあたしの目元に親指をおいて…
優しく、そっと涙を拭いてくれた。
…ドキドキ…
…ドキドキ…
たったそうされただけで、一気に熱くなるあたしの顔。
…ひゃーっ
今、絶対顔赤いよぉ…。
北村くんの優しさに、ドキドキと胸が高鳴る。
「あのさ、一つ聞いていい?」
え…っ?
な、何聞かれるのかな…?
「…いいよ」
あたしは、北村くんを見てそう言った。