学園王子様は、俺様です。



「飯倉」



__ドキっ




初めて…飯倉って言われたかも…。



2人のときはずっと『お前』だったから…。




あたしは、ドキドキしてるのを隠しながら、





「なに…?」





返事をする。




「絶対命令。
体育祭で俺を応援すること」




えっ…?
そんなこと言われなくても、同じクラスだから応援するのに。



「うん、するよ?」




「今の言葉、忘れんなよ。
…言っとくけど、成田も出んだからな?

アイツ応援すんなよ?」




…へ??




今、なんの話してるの…?




なんのことか分からないよ??





「…だから天然は…。
お前な、普通の種目で応援すんのかと思ってんの?」



「えっ…? そうじゃないの??」




「…ホントバカだな。
あのな、俺が言ってんのは…



学園の男子の希望者だけ出場する、マラソンだからな?」




ま、マラソン??



「…そうなんだ…って、えっ…、それを応援するってこと??」




「そ。
もうお前と約束したから、ちゃんと俺だけ応援しろな」





北村くんはそう言って口角をクイっとあげる。



…そんな姿さえかっこ良く見えてしまうのは…



やっぱり好きだからなのかな…。




「うん、応援する」




あたしは、笑顔でそう言った。



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