学園王子様は、俺様です。
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「飯倉さん、帰ろうか」
楽しみにしていた放課後になり、あたしが帰りの支度をしていたところ、
北村くんがあたしの席に来た。
「あともうちょっとで終わるから、待っててね…っ」
あたしはせっせと支度を続ける。
今日は、辞書を持ち帰らないと…
あたしが辞書を取りに席を立つと…
「…飯倉さんて北村くんと付き合ってんの⁇」
「え〜? 似合わなーい!」
「でも、前に一緒に登校してたらしいよ?」
「可愛くないくせに、やる〜」
…女の子たちはあたしに聞こえるようにそう言っていた。
胸がズキズキと痛む。
遠くからでも会話が聞こえるから、嫌になっちゃうよ…
『似合わない』
そんなこと、分かってる…。
『可愛くない』
あたしが一番わかってるよ…。
辞書を抱え、席に戻ろうとすると。
「俺の彼女のこと、悪く言わないでくれない?」
なんとも低い声がした