学園王子様は、俺様です。
「あ…飯倉さん」
下駄箱で靴を履き替えているとき、誰かに名前を呼ばれて顔を上げると…
「成田、くん…」
あたしに夏休み前、告白してくれた…成田くんがいた。
「おはよう。 今、うまくいってる?」
『うまくいってる?』というのは、北村くんとのこと…だよね。
「おはよう。
…うん、うまくいってるよ」
やっぱり…成田くんには付き合ってることわかってるよね…。
「そっかぁ…まぁ、そうだよなあ…
体育祭で、思い切り北村応援してたし」
「あっ! そ…それはっ」
マラソンのとき。
北村くんと成田くんは僅差だったから…あたしが北村くんを応援してるのは、バッチリ聞こえちゃうわけで…
うわぁ…あたし、何してるんだろう…。
「ふっ ちょっとからかっちゃった。
でも…良かったじゃん」
そう言ってニコッと笑ってくれて、気がほぐれた。
「うん…成田くん、ごめんね」
あたしが、申し訳ない気持ちを込めて謝ったそのとき。