学園王子様は、俺様です。


「朱里が言ったから嘘はつかない。
私はずっと、ずーっと…

涼ちゃんだけが好きなの」




「…うん」



あたしはただ黙って話を聞くことにした。



「私、ぜんそく持ってて。
弱かったから…いつも涼ちゃんは私のそばに居てくれたの。

だからかな…そんな優しい涼ちゃんのこと好きになってて。

でも…ある日突然引越しが決まったの。

原因は私のぜんそくなんだけど…まだ小2だったから、理解できなくて。

引越しても涼ちゃんのこと忘れたこと一度もなかった。

そして…涼ちゃんと同じ高校行くために戻ってきたけど…うち、お金持ちじゃないから受けられなくて。

せめて近いところに受けたんだ。

最近、バイトしたいなって思ってここにして。


…そしたら偶然再会!って感じかな。

会って涼ちゃん見て目が飛び出たよ。

7年前と違ってすごく男!って感じだったから。

でもちゃんと面影は残ってたし…やっぱりまだ好きだな、って思ったんだ」





…ずっとあたしは那月ちゃんの話を聞いていたけど…



すごくすごく那月ちゃんにとって、北村くんは大事な人なんだな…って思い知らされた。


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