学園王子様は、俺様です。



「再会したら告ろーとしたけど…彼女いるって知って。

見たらすごく可愛いし。

涼ちゃん大好きみたいだし…望みはないってわかったよ…」



「へ? 可愛いって…あたし!?」



「そうだよ? 涼ちゃんも大好きみたいだね、朱里のこと。
…好きな子を見る目をしてた…」




そう言ってははっと悲しく笑いながらコーヒーを飲む。



「きっと涼ちゃん、朱里が初恋だよ。
良かったね」




あ…那月ちゃん知らないんだ…。



北村くんの初恋は那月ちゃんだって。





ーーこの時のあたしは、バカで…。




「北村くんの初恋の人はっ、那月ちゃんだよ!」




とっさに、同情して、可哀想に思ってでた言葉だった…




「ええ!? そうなの!!?」




那月ちゃんはかなり驚いている。



「うん、北村くんが言ってたよ」



「…そうだったんだ…」




「突然の別れで言えなかったみたい」




ーーあたしがこんなこと、言わなければ良かったのに…。





「朱里、ありがとう。
勇気でてきたよ」



「へ? うん…?」





鈍感で…バカなあたしは、この時気づかなかった。







「…まだ私に望みは充分あるじゃない」






そう、つぶやいた那月ちゃんの言葉に…
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