学園王子様は、俺様です。



「やややややっ」



『襲う』の単語にものすごく動揺して、『や』を連発する。



「ブッ ホントからかいがいあんのな。

…ま、俺はいくらでも待つから」




…優しく微笑んであたしの頭を撫でる北村くん。




ずっと、ずっと触れてほしかった。




そして何より、『いくらでも待つ』と言ってくれた…。



涙腺が緩み、涙がでそうになる。





北村くん、北村くん…




あたし…




「北村くんがっ…大好き…っ」





もう、ダメじゃんあたし…

泣いちゃうなんて…



ーーギュッ




気づけばあたしは北村くんの匂いに包まれた。





「知ってる。 俺も朱里が大好きだから」







『大好き』


北村くんに言ってもらえると、こんなに嬉しくなるんだね。



あたし…自惚れてもいいのかな…




こんなに優しく抱きしめて、大好きと言ってくれたから…。









ーーだけどこの後…不安に変わることをあたしは知るよしもなかった…。

< 320 / 410 >

この作品をシェア

pagetop