学園王子様は、俺様です。
「やややややっ」
『襲う』の単語にものすごく動揺して、『や』を連発する。
「ブッ ホントからかいがいあんのな。
…ま、俺はいくらでも待つから」
…優しく微笑んであたしの頭を撫でる北村くん。
ずっと、ずっと触れてほしかった。
そして何より、『いくらでも待つ』と言ってくれた…。
涙腺が緩み、涙がでそうになる。
北村くん、北村くん…
あたし…
「北村くんがっ…大好き…っ」
もう、ダメじゃんあたし…
泣いちゃうなんて…
ーーギュッ
気づけばあたしは北村くんの匂いに包まれた。
「知ってる。 俺も朱里が大好きだから」
『大好き』
北村くんに言ってもらえると、こんなに嬉しくなるんだね。
あたし…自惚れてもいいのかな…
こんなに優しく抱きしめて、大好きと言ってくれたから…。
ーーだけどこの後…不安に変わることをあたしは知るよしもなかった…。