学園王子様は、俺様です。



「…涼…ちゃん…?」


隣に座らせ、俺の肩にもたれかかっていた那月が起きたらしい。



「あぁ。 那月…大丈夫か?」


「うん…涼ちゃんがいてくれるから…」



そう言って、那月は俺の腕に自分の腕を絡ませた。



「今日…涼ちゃんと帰りたいなって思って、学校が終わったら走って城ケ崎学園に走って行ったの…

そしたら発作が出て来ちゃって…倒れちゃったんだ…」



「俺と一緒に帰ろうとすんな。
確かに那月が心配だけど、俺には彼女がいんだから」



「…うん、そうだよね…」



那月は悲しそうな顔をした。


今日だって朱里とデートする…



『朱里』


自分の思考で…このとき、やっと思い出した…



朱里とのデートの約束を忘れてた、と…



「那月様、ご自宅ですよ」


「はい、ありがとうございました…」



「…安静にしてろよ」



「うん…」




那月を家まで送り終わった後、



「亀山っ! 今すぐ学園に行ってくれ!」



亀山にそう伝えた。



「朱里様ですね? かしこまりました」




まだ朱里がいるかもしれない。

俺を待ってるかもしれない。




そう思って校門まで行ったけど…




朱里は、いなかった…。
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