学園王子様は、俺様です。
急いで追いかけるが、見失ってしまった。
クッソ…ッ!
どこ行ったんだよ…てか、アイツまだ朱里のこと好きだったのか…
俺はひたすら捜す。
ちょうど人があまりいない非常階段を降りたとき…
見つけたんだ…。
そして、見てしまった。
成田が朱里を抱きしめているところを。
その瞬間、俺はキレて…成田と色々言い合う。
成田も負けてなくて…決して朱里から離れようとしない。
朱里も、そんな俺たちのやりとりが怖いのか立ったまま。
…イラっとした俺は成田を朱里から引きはがすために殴っていた。
「何言われようが朱里に触ったことは許せねぇの。
お前、2度と朱里に近づくなよ」
低い声が勝手にでる。
…そのくらい、俺は怒っていたんだ。
成田はヨロヨロと立ち上がって
「…ハハッ
なんだよ。お前、飯倉さんちゃんと好きなんじゃん。
泣かせてんなよ。
飯倉さん、またね」
そう言って俺の肩をポンッと叩いて消えた。
『泣かせてんなよ』
その言葉を聞いて、初めて朱里が泣いてたことを、知った。