学園王子様は、俺様です。
「もぅ、なんでキスしちゃうのっ…」
結婚式の誓いのキスを今日1番にしたかったのにー…。
「はぁ? 俺がしたくなったからしたんだよ。
いっぱいキスできて嬉しくねぇの?」
最後の言葉を言うときに、ニヤッと笑った。
「…っ!」
北村くんは…相変わらず俺様だ…。
でも、そんな北村くんがあたしは大好きなんだ。
だから…
「…うん。
いっぱいキスしたい。
だから…許すよ…」
「フッ 今の言葉忘れんなよ?
帰ったら…楽しみに」
た…楽しみに…って…、何するの!?
意地悪だなぁ…。
「…じゃ、俺はあっちに行くな」
そう言って北村くんは、あたしの頭を撫で、
そばにいた優斗さんに会釈して、教会の中に入って行った。
あ、そっか…途中まで、優斗さんと歩くんだ。
「朱里、綺麗だね」
優斗さんが微笑んで言ってくれた。
あたし…未だに『優斗さん』だ…。
もう、4年は一緒にいるのに…。
「…うん、ありがとう。
…お父さん」
「朱里…」
優斗さんじゃなく、『お父さん』と呼ぶと、涙ぐんで笑ってくれた。
…そして、結婚式が始まるーー。