学園王子様は、俺様です。
声からして男の子だということがわかった。
「だ、大丈夫…です」
あたしは顔を見ないで立ち上がり、その人の横を通りすぎようとした。
「…待って!」
腕を掴まれ、あたしは止まってしまった。
「…え…」
な、なに…?
パッと顔を上げると……
…そこには、かっこいいというより、かわいい感じの男の子があたしを見ていた。
「俺、1年の成田晴翔って言うんだ!
名前、教えてよ?」
なりたはると…くん?
なんで自己紹介するのかな、と思ったけどあたしもした方がいいと思い、
「あ、たしは飯倉朱里…です」
と、小さな声で言った。
やっぱり、人見知りで上手く話せないな…。
ん?
あたし、人見知りなのに……北村くんとは普通に話せてる…よね?
「…あ」
北村くんに、屋上来るように言われてたんだった!!
い、急がなきゃ…っ
「あ、あたし…用があるので!」
「あっ
飯倉さん!?」
さっきの男の子の声が聞こえたけど、あたしは走ってて気づかなかった