好きな人。
「…そんなに、好きなんだねぇ」
少し真面目な顔で聞いていた観星は、やっぱりにまにまっと笑ってこっちを見た。
「う、うるさい!観星だってその子の事、すーーーーーっごい好きなんだねぇー?『こっちまで、元気出てくるんだよね』だっけ?わー可愛いー!!」
「う、うっせぇ!お前だって、デレデレしちゃってバカじゃねーの!『すっごい…、好きなんだ……』、っは!似合わな!!!」
「んだとそっちだってニマニマデレデレしちゃってさ!!」
「いーやお前には勝てねェよ!デレデレー!」
「う…、うっさい!!!」
「槇原ー、観星ー、終わったかぁー?」
「「すみません終わってません」」
担任には聞かれたくない会話。
二人がそう思って、声をそろえてそう言った。
そして速攻で作業に取り掛かる。
「じゃ、職員室までよろしくな?」
ばいばーい、というノリで担任は職員室に戻って行った。
何しに来たんだよ。
「…明日バレンタインじゃん?」
静かになった教室に、観星がポソ…と言った。
「う、うん」
手が震えてる事…観星、気付いてないかな。
「あげんの?…そいつに」
少し真剣な目をして、観星がこっちを見てきて
………、ドキっとする。
なんでそんな顔するの…。
「…あげる勇気なんて、…ないよ?」
思わず、顔を伏せる。