好きな人。
今年、同じクラスになって初めて観星と話したのは、初めての日直の時だ。
うちのクラスは出席番号順の2人組が3日間日直となる。
その順番が巡り巡って、あたし達の順番になった時。
「槇原ー、ほい、日誌」
「はっ!?ちょ、観星君っ!?」
「俺、黒板消すからな。槇原、日誌な。」
そう言われ任された日誌の仕事は、明らかに黒板より面倒くさかった。
「観星君!?ずるいんだけど!!そっちの方が断然楽じゃん!!」
「んだよ?授業が終わるたびに消すのも大変だぜ?」
「へぇー、そうなんだぁー?じゃぁあたしやってあげるよ!観星君、日誌お願いねッ☆」
「っは!いーよいーよ、大変な事は俺がやってますよーレディ」
「別に良いわよ☆あたしがやったげる!というわけで観星君、日誌お願いねッ☆」
「槇原さっきから同じことしか言ってねェよ?結局日誌任せたいだけだろうがよぅ!」
「もちろんそうに決まってんでしょうがよぅ!!観星君だって同じでしょ!?」
「っは!ちげぇよバカ野郎!槇原みたいなチビには黒板全部消すのは大変だろうからやってやるっつってんだよ!!」
「今チビって言った!?チビって言ったね!?7,8センチくらいしか変わんないくせに!!」
その日直の仕事がきっかけで、あたし達は喧嘩友達になった。
その後、あたしは「観星」と呼び始めたし、観星はあたしをそのまま「槇原」と呼んでいる。
そしてあたしは、特に大きなきっかけがあったわけではないけど、
あたしは観星が好きになっていた。