君と僕との物語
5、「君に捧げる物語」
出会ったとき君はすでにこの塔の中に閉じ込められていた。

この役目を言い渡されたとき、僕は絶望的な気分になった。

ああ、僕はもうこの国には必要のない人間なんだと。

そう言われた気がしたから。

“双子は災厄を呼ぶ”

この国ではそう信じられていたし、僕だってそう思っていた。

だから君は生まれながらにして、

“災いを呼ぶ悪魔の姫”

と怖れられ、この塔に幽閉された。

生まれ落ちた瞬間からその存在を否定され、誰にも無向きもされないお姫様。

そんな君の家庭教師なんて。

誰が好んでやるだろう?

そう思ったあの日の僕を、僕は殴りつけてやりたいと思う。

人のうわさなんて、本当にあてにならない。

君を見ていて、僕はそう思った。


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