一途過ぎたら大変!?
先生に向かって起立礼をし、着席した後
先生はみんなを見渡し、いたずらしそうな顔をし、
「え~~、なぜかうわさが広まってるようだが、今日は転校生を紹介するぞ~」
そう言った瞬間クラス中案の定騒ぎ出した。
「え~やっぱり噂通り男子かな?」
「いや、ここは女子だろ?」
「ね~イケメンかなぁ~??」
「夢見すぎじゃね?」
「ど~ゆ~ことよぉ~」
あらゆるところから色んな期待を込めた声が聞こえる。
当の私はと言うと、男子でも女子でもどっちでもいいし、
お友達になれるといいなぁ~くらいにしか思えないし
はっきり言って、みんなのテンションに乗り遅れていた。
「はいはいはい、そう言う反応するのは分かっていたけど、とりあえず落ち着け~転校生いつまでたっても教室入ってこれないぞ~」
その言葉を聞いた瞬間今までの騒ぎはどこへ行ったのやら、ものの見事に静まり返った。
皆の反応に苦笑しつつ先生は
「まぁ、こんなクラスだが大澤、入って来い」
そう言われクラスの前の扉が開かれる。
開かれるのと比例して皆が前のめりになっていく。
入ってきた人物を皆が見た瞬間、女子は歓喜し、男子は落胆した。
転校生は男子だった。
で、皆が思っていたよりかなりイケメンだった。
う~ん、例えるなら正統派王子の様な感じ?
「わぁ~かっこいい~♪」
「なんだよぉ~、このクラスにイケメンは要らね~」
「彼女いるのかなぁ?」
また、クラス中が騒ぎ始めて先生がなだめに入った。
「おいおい、お前ら。大澤が挨拶できんだろ」
先生の言葉は効果覿面。すぐに静かになった。
静かになったところで、綺麗なバリトンボイスで転校生君が話し出した。
「大澤 誠也です。よろしく」
短い言葉だったが、綺麗な顔プラス、バリトンボイスで大半の女子は骨抜きにされてしまったらしい。
私はイケメンだなともいい声だなとも思うが、だからと言って好きだなとか思えないし、はっきり言ってそう言う感情が良く分からない。
だから未だに彼氏の一人も出来たことないんだが・・・・・・
いやいや、今そのことは関係ないし!と自分自身に突っ込みを入れていると、
・・・・・・ん・・・・・・?
転校生君・・・・・・もとい、大澤君と目が合った・・・・・・って言うより見られてる?
まっさかねぇ~♪
全く知らないし、私を見ているわけないか。
そう思い直し、噂の転校生も拝めたし、一時間目の用意でもしようかな。
机の中から教科書を出そうと探っていると・・・・・・あら?急に暗くなった?
思わず見上げてみると・・・・・・
「やっと会えた。会いたかったですよ、舞さん。俺のこと覚えていますか?」
いつの間に一番後ろの私の席に来たのか、転校生君が綺麗な顔をより笑顔で引き立たせ私を見下ろしている。
周りからはぎゃ~だのきゃぁ~だの良く分からない声が聞こえてくる。
今私の名前呼んだ??私に向けられている視線を感じつつ
一度目を瞑って目を開いてみる。
何度も繰り返してみたが、綺麗な笑顔で私を見ている。
・・・・・・やっぱり私に話しかけてる?・・・・・・けど・・・・・・
「いやぁ~・・・・・・どなたでしょう~?」
首をひねり、思いっきり間抜けな答えを返してしまった。