先輩と後輩の私。
背後に人の気配が感じられた瞬間、
頬に暖かいものがあたった。
(っぎゃあああああぁぁっっっ!!!!)
私は声にならない声を出してその場にしゃがみこんだ。
「ぷっ、ククククククッ」
「…?」
ちらりと薄目で上を見上げてみた。
「へ…?草、先、ぱい…?」
そこには、制服に黒いマフラー、そしていつものエナメルバックをからった草先輩がいた。
「ふはは、驚いた?」
「うっへへっ……っ、ちょっ…と、怖っ、怖かっ、た…です」
恐怖と安心感で私は目が見る見るうちに潤み始めた。
「っ、ぇ…ちょ、まさか、さくら泣いてる?…ごめん、こんなに驚くとは思わなくて…」
潤む視界の中、目の前で草先輩が心配そうな顔でこっちを見てるのがぼんやり見えた。
「とりあえず、どっか座ろう?」
と言って、近くの花壇に座った。
落ち着いてきたころ、草先輩がひらめいたようにエナメルバックの中をあさりだした。
「…?」
「お、あった、あった」