先輩と後輩の私。
「はい、メリークリスマス」
「へ…」
草先輩の指先には、白いうさぎのぬいぐるみストラップが吊るされていた。
「まぁ、驚かせたお詫びってことで」
「や、でも、悪いですよ…」
「いーって、もうやる相手もいないし。」
先輩は少し悲しそうな顔をしていた。
彼女のことだ、とすぐに分かってしまった。気づかなきゃよかったのに。
こんな風に言われると、もらうしかないじゃないか。
「っ、じゃあ、いただきます。ありがとうございます」
「うん、ごめんね。じゃ、また明日な」
そう言うと先輩はエナメルバックをからい直して、駅の方に歩き出していった。
「ぁ、せ、先輩!!」
草先輩が振り返った。
「あっ、ありがとうございました!!大切にします!!それと、それとっ、先輩、メリークリスマス!!」
草先輩はすこし赤い鼻をかいて、照れたように笑って「おやすみ」と返して、また歩き出した。
はぁぁ、、、夢みたいだなぁ。
先輩に会えるなんて。しかも、プレゼントまでもらって。
私は手のひらサイズのそのうさぎを額にくっつけて、しばらく悶えていた。
先輩、ありがとうございます。絶対絶対大切にします。
その次の日から、私のバックには、白いうさぎが揺れていた。