魔法がとけるまで
「ごちそうさまでした」


座間さんは食べ終わると自分のリュックを引き寄せ、物色し始めた。



「財布に新聞、鍵にパンツにタオルしか入ってない。しかも…競馬新聞やし!ヒモの上に競馬するなんて、最低な男や」



所持品が…財布と新聞と鍵はともかく、パンツとタオルって何?笑える。


「アレ…?」



座間さんが、財布の中から何かを見つけたようだ。首を伸ばして見てみると、スーパー銭湯の無料招待券だった。



パンツとタオルは、仕事帰りにスーパー銭湯に寄るつもりだったのかもしれない。



「これは、自分を思い出す手がかりにはならへんなぁ…。鍵もどこのものやら…。それにしても、なんでスマホとか持ってないんやろう?」



私も、それは思っていた。ドライバーなんやから携帯電話は必須なのでは?会社から支給されていたにせよ、プライベート用がないのはおかしい。


「さぁ…?」



それは、私も知りたいと思っていた。


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