魔法がとけるまで
「そうですよね」



えっ!?
座間さんからの意外な返事に、私は俯いていた顔をカバッとあげた。



「免許証の住所…ここに帰れば、いいんや。あなたは…」



「海老名祥子…です」


「あ、じゃあ祥子さん。大人しそうな感じがするし…きっと、無理矢理オレが押しかけて…迷惑やったに違いない」



アレ?話がおかしなほうに…?首をブンブンと横に振った。



「明日、帰りますわ。今日だけ…泊めてもらっても…いいかな?」



えっ!?
思わず、首をブンブンと縦に振った。



「ほな、今夜まで、祥子さんのヒモ…で」



祥子さんの…ヒモ…。



胸が…胸が苦しくて…。すっかり箸が止まった私だったけれど、座間さんはお構いなしに完食をした。



「ごちそうさま」



その笑顔、まともに顔が見られない…。



「お…お風呂沸かしますっっ!」



そう言って、お風呂場に逃げこんだ。



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