魔法がとけるまで
カフェオレをいれて、テーブルに運ぶ。カフェオレボウルの重みのせいじゃなく、手がプルプルとする。



「…どうも…」



ふぅふぅと息を吹きかけてから飲む。猫舌なのかもしれない。



「いつも…どこに寝てたんやろ?」



「えっ…」



「ベッド、ひとつしかないし…ソファーもないし…」



「あ…」



座間さんは、3日前からこの部屋で暮らしていると思いこんでいる。



今夜、初めて2人っきりの夜を過ごすのに…。



「もしかして…2人でひとつのベッドに…?」



私が頷いたら、そういうことになるのだろうか?


アカン!それはアカン!


「竜二さんがベッドで私はここに…」



そう言って、座間さんが座っているほうを指差した。



「えっ!?ヒモのクセに自分だけベッドに寝てたんか!?」



「…はぁ…」



「そんなん、アカン。祥子さん、風邪ひいてまうわ!」



「いえ…私は…」



「オレはここに寝ますから、祥子さんはベッド」


「いえ!!竜二さんが…」


「いやいや、祥子さん」


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