魔法がとけるまで
「コレ、持っていってください…オートロックやから…」



私は、元カレが使っていた合い鍵を、座間さんに渡した。



「いってきます」



座間さんがいなくなるとなんだか落ち着かない。今までひとりやったの、ひとりが落ち着かないってへんなの。



とりあえず、着替えて洗濯を始めた。座間さんが袖を通したスウェットは、綺麗にたたんで、紙袋に入れた。



洗濯が終わるまでに掃除機をかけた。そのうち、座間さんが戻ってくるだろう…。



『ガチャ』



「祥子さ~ん」



部屋のドアが開いたのに座間さんは部屋には入らずに私を呼んだ。



「はい?」



玄関に向かうと、座間さんの隣に男性の姿が見えた。



見覚えのある顔。以前、このエリアを担当していた、ニッキューのドライバーだった。



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