魔法がとけるまで
「あっ!バンビの事務員さん?以前にこのエリアの担当ドライバーだった伊勢原です」



うわぁ…。覚えられてるし!配達途中に座間さんと遭遇したのか、伊勢原さんはニッキューの制服姿だった。



「コイツ…どっかで記憶なくしたみたいですね?保護していただいたみたいで…すみません」



座間さん、ヒモの話はしてないんや…。ホッと胸をなで下ろした。



「連絡しようにも携帯とかスマホとか持っていなくて…。とりあえず、1日だけ私が…」



「そうでしたか。ありがとうございます!寮の部屋にスマホ置きっぱなしで連絡とれんし…。大騒ぎになってましてね」



「すみません…。やっぱりすぐにニッキューさんに連絡すれば良かった」


思わず、私の本音がもれた。すぐに連絡すれば良かった…。



「いやいや、助けていただいたんですから、謝らんといて下さいよ。コイツは、私が引き取りますから…ありがとうございました!」



伊勢原さんは、座間さんの頭を手で無理矢理下げながら、頭を下げた。



「そういうわけなんで…帰ります…。ありがとうございました」


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