魔法がとけるまで
「まいど!ニッキューです」



翌日も、座間さんは爽やかな笑顔で配達にやってきた。



「…こ…こんにちは」



判子を押す手が、微かに震えた。



「オレ、ギャンブルはしませんよ」



「えっ!?」



突然、そんなことを言い出す座間さんに、視線を送った。



「オレの友達が厩務員でね。あの日の新聞に載るって聞いていたから買ったんです」



「…はぁ…」



私が間の抜けた返事をすると、軽く会釈をして、帰っていった。



…座間さんは…なんでそんなこと、わざわざ言ったんやろうか?



首を傾げながらデスクに戻ると、川崎さんがパタパタと廊下のほうに走っていった。



川崎さんは…いつもあんな風に、座間さんを追いかけていたんや…?



おおっ…怖っ…。
可愛らしい外見は隠れ蓑で、中身はガッツリ肉食獣。川崎さんもロールキャベツなんやね…。



座間さんも…あんなに可愛い子なら、受け入れるよなぁ…。



はぁ…。



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