魔法がとけるまで
さっき空いた隣のテーブルに、また新しい客が座った。



「オレのこと、好きやないんか?」



「あの…ちょっと…」



隣のお客さんにも聞こえるし!前髪の隙間からチラッと様子を伺って、凍りついた。



ざ…座間さん!?
今は、私に気付いていないようやけれど…そのうち気付かれるかもしれへん。



「皿うどんと餃子」



座間さんが注文した料理は、私の大好物で…思わず頬が緩んだ。



「何、笑ってんの?」



あっ!!綾瀬さんを忘れていた…。



「その話は、場所を変えてしませんか?私、アイスが食べたくて…」



「そうか、わかった。アイスくらいなら、ラブホにもあるやろう」



「…はっ?」



私は、思わず立ち上がった。右側から、視線を感じた。



「とりあえず、出よ?話は、その後にゆっくり」


今の『はっ?』の声で、座間さんに気付かれたかもしれへん。私は、黙って頷いた。



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