魔法がとけるまで
マンションの玄関先で、私は、手を離した。



「ありがとう…」



「今度は、部屋まで行くからな」



綾瀬さんはそれだけ言うと、帰っていった。



オートロックの入口を抜けて、自分の部屋に帰ってきた。



「ただいま」



ミャーとショコラが迎えて…くれない。



「ショコラ?」



寝ているのかと思ったけれど、姿が見えない。



「ショコラ?ショコラ?どこいったん?」



おらん、おらん…どこにもおらん!私は、狂ったように、部屋中を探し回った。



猫は、自分の最期を感じた時、急に姿を消す…そう聞いたことがある。



「ショコラーーー!」



私は、泣き叫んだ。ショコラがいなくなったことと一緒に、最近のモヤモヤを吐き出すかのように…。



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