魔法がとけるまで
「晩ご飯、食べて帰りますか?」



私のひと言に、綾瀬さんは驚いた表情を見せた。


「ええんか?」



「家にある材料で作りますから…大したもんは作れませんが…」



「祥子が作るなら、なんでもええよ」



「………」



綾瀬さんは、勝手にテレビをつけると、ゴロンと寝転んだ。



冷蔵庫を覗きこんだ。大した材料もない。カレーくらいしか作れないけれど、ええかな?



私が黙々と料理を作っている間、綾瀬さんはテレビを観ていた。特に会話もなく…。



『何、作ってるんですか?』



この部屋で座間さんが言った言葉を思い出した。


胸が…痛くなった。



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