魔法がとけるまで
「なんやねん!?」



名前を呼んだだけやのに…綾瀬さんがベッド脇に座ると、怒りを露わにした。私も起き上がり、隣に座った。



行為の途中で名前を呼ぶとキレる人?



「千年の恋も冷めるわ」


「…なんで?」



「オマエ、無意識に名前を呼んだんか?」



「…はぁ…」



気持ち良くなったから、つい…。



「オマエ…」



口調は怒っているけれど目は哀しげに光っていた。なんで…?



「『竜二』って呼んだ」


えっ…。
私は、綾瀬さんの姿に座間さんを重ねてたんや?無意識のうちに…。



「ごめんなさい…」



「好きな…男の名前か」


綾瀬さんが、ため息をついた。私は、何も言えずただ俯くことしかできなかった。


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