魔法がとけるまで
お互い、無言でランチを口にする。美味しいハズのランチやのに、味がしない。胸が苦しいのに、無理矢理、口に運んでいるからだ。



ひと通り食べ終わると、綾瀬さんが口を開いた。


「オマエ、竜二ってヤツに気持ち伝えたんか?」


『もう一度、言って?』


…あの時、そう言われたから、伝わってないかもしれん。伝わっていたとしても、記憶が戻ったことやし、忘れられているやろう。



「一応、伝えたつもりです…」



「一応?で、返事は?」


私は、首を横に振った。


「振られたんか…」



「振られた…というか、可愛らしい彼女が…」



私は、川崎さんを思い浮かべた。可愛らしい外見やけれど、オフィスで堂々と彼氏に抱きつくロールキャベツを。



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