魔法がとけるまで
三十路を迎えた私は、最近、ひとり暮らしを始めた。職場からオフィス街を抜けて歩いて10分ほどのところにある、女性向けのお洒落なマンションだ。



ブランド品やアクセサリーにお金をかけたりしないし、化粧品だって、特別、高いものを使っているわけではない。



好きな洋服ブランドもなく、洋服を買うのはバーゲンかアウトレット。浪費家ではないから、そこそこ貯金がたまっていた。



結婚軍資金だったんだけれど…。もう、必要ないも同然。それならば、通勤に片道1時間かかる自宅を出ようと思ったのだ。



今の職場には、定年までいてやる!骨を埋めるつもりの、引っ越しだった。



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