ツンデレくんを呼んでみた。
「卒業したら地元に戻るんやろ?」

「うん。あたし、こっちで友達あまりいないし、もともと大学のためだけに来たし。中出と離れちゃうのは惜しいけど、中出のためだけにいれるほどあたし強くないしねー」

「てか、重い」

「言うと思った」


はは、と笑いを漏らさなければ悲しくなる。


中出はスマホを拾ってズボンの後ろポケットに入れて立ち上がった。


「帰んの?」

「ん」

「暇な時くらい早く寝なさいよー」


あたしは中出を見上げてひらひらと手を振った。


中出はじっとあたしを見下ろしていた。


「……どうかした?」

「待ってろなんて、無責任なこと言えん」

「うん……?」

「3年」

「はい?」

「俺、院に行くから」

「は? あんた、院に行くほど成績良かったっけ?」

「……ばかにしてるやろ」

「ちょ、ねえ、聞いてないんだけど」


中出の手を引いて力ずくで座らせた。


「相変わらずばか力やな」

「だって、何も聞いてないしっ」

「言えるわけないやろ。そんな未確定情報」

「でも、この時期にそう言うってことは、成績は大丈夫ってことだよね?」

「一応」

「そっかあ。全然知らなかった」


あたしが「頑張りなさい」と言うと、中出は「何様や」と苦笑した。


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