ツンデレくんを呼んでみた。
「じゃあ、3年経ったら、あたしが迎えに来るね」

「え、嫌だ」

「なんでよ、3年経ったら迎えに来てってことでしょ?」

「なんで奈子が俺を迎えに来るんや。いろいろおかしい」

「中出があたしの地元に迎えに来る方が想像できない」

「……否定はしねえけど」


あたしは中出の手を握りながらじいっと中出を見つめた。


「あたしは3年くらい待ってられるけど、中出が変わり過ぎてたら無理だよ」

「変わらんやろ。そう簡単に」

「わかんないよー3年なんて、人を変えるには十分過ぎるくらいだよ。中出がチャラくなってる可能性だってあるんだよ。そしたらあたしは全力で振るけど」

「それそっくりそのまま返すわ。……まあ、3年後なんてどうなってるかわからんし」

「うん」

「俺も、奈子を好きなままかわからんし」

「あたしは大丈夫だけどね」

「どっから来るんや、その自信」

「待ってろって言われなくても、あたしは待ってるよ」


あたしが笑うと、中出は目を見開いてぱちくりとしていた。


「中出があたしを嫌いにならない可能性が0じゃなかったら、あたしは待ってる。だから、思う存分頑張っておいで」


中出はしばらく呆然としていて、それから俯いてわずかに頷いた。


「……じゃあ、待ってれば」

「はい、勝手に待たせていただきますっ」


あたしは中出を抱きしめた。


勝手に笑いが漏れてしまう。未来のことなんて誰にもわからないのに、それは中出だってわかっているのに、それでも待っててもいいと許してくれたことが嬉しい。


「…………痛い」

「えっへへ。ごめんねえ」

「緩める気ないやろ……ほんと、物好き」

「うん、大好き。就活頑張ってくるね」

「ん……」


中出がそっとあたしの腰に手を回してくれた。


きっと、ばかな女だと中出は笑っているだろう。


ばかでいい。君の言葉に嘘はないから。


あたしはそれをばか正直に信じるだけだ。


「駿哉、愛してるよ」


きっとこれは無償の愛に近い。


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