ツンデレくんを呼んでみた。
中出の車に乗り込んで、家まで送ってくれた。


中出はこのまま帰るかと思ったら、家に入るらしい。


「何? 双子の妹達と喧嘩した?」

「ちげーよ」

「じゃ、親と喧嘩したとか」

「なんで俺が家族と喧嘩すんだよ」

「だって、あからさまに喧嘩吹っかけるとこあるし」

「奈子だけやから安心しろ」

「……それもどうなの」


部屋のラグに座り込んでぼんやりとテレビを眺めているうちに、眠くなってきた。


「……眠い」

「寝ろ」


隣の中出の肩に頭を乗せると、ぱっと離れられた。


あたしはそのまま横に倒れてしまった。


「……相変わらずひどい」

「くっつくな」

「外でしないからいいじゃんかあ」

「別れてる」

「それは嫌だなあ」


中出はべたべたすることは嫌いだ。たまに甘えて来ることはあっても、甘えられるのは好きじゃなくて、あたしは9割方振り払われる。


外でする気はさらさらないんだから、少しは受け入れてくれてもいいのになあなんて思うけど、中出だから仕方ないと思ったりもしている。


結局のところ、あたしはそんな中出だから好きなのだ。


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