ツンデレくんを呼んでみた。
「あはは!! その子いいキャラしてるわ~」

「……志満ちゃん、笑い事じゃないよ」


あたしはため息をついて熱いほうじ茶を啜った。


中出といい、どうしてあたしがこの話をすると笑われるのか。


さっきあたしが連絡したのは、テニス部員である加山志満(かやましま)だった。


三年生の女子部員が二人しかいないこともあり、引退した今でもあたし達はプライベートでも仲がいい。


何かあるとすぐに相談できるし、中出と付き合っていることも一番最初に報告した。


今回の件も、中出より先に話していたくらいだ(そもそも中出とはそんなに頻繁に会わない)。


「どーすりゃいいのよあたしは……」

「話が通じないっていうか、奈子が断ってることに気づいてないんやないの?」

「何それー。究極の鈍感ですか」

「ほら、恋は盲目っていうやろ? 好きな人以外なーんも入らなくなるんよ」

「せめてあたしの話くらい聞く耳持ってくださーい」

「知らんよー私その子じゃないし」


志満ちゃんはくすりと笑って同じくほうじ茶を飲んだ。


「そもそもさあ、LINEがあからさまなのよ。家に行きたいですとか、どんな人がタイプですかとか」

「どんなんがタイプって答えたん?」

「愛想が悪いツンデレ」

「ははっ、まんまやな」

「でしょー」


あたしは志満ちゃんと一緒にけらけら笑った。


「愛想が悪いって、奈子、その子に対してかなり爆弾落としたよ」

「あはは、そうかも。その子、愛嬌でなんとかなってるレベルだからねえ」

「ひどい言い方ー」

「でもあたしのタイプ、その愛嬌すらないし」

「まあ、そりゃ確かに」


あたしと志満ちゃんはまたけらけら笑った。


あたしのタイプとは、言わずもがな中出である。


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