ツンデレくんを呼んでみた。
なんでいるのと、にわかに信じがたくてしばらくその場に立ち尽くしたまま山崎を凝視していたら、こちらを向いた山崎と目が合って満面の笑みで手を振ってきた。


うわあ、すっごい嬉しそうだね。


「奈子さん、俺の隣に来てください!」


山崎は上機嫌であたしに寄って、腕を掴んで隣に座らせられてしまった。


な、中出にもこんな強引に腕掴まれたことなんてないのにぃ!
(そもそも中出から触ってくることすらほとんどないけど)


テーブルを見渡すと女子と男子の割合が7:3ほどだった。一見すると女子が目立つ。


中出は今頃何をしているかなあと考えた。


実験で忙しいだろうか。実験といっても工学部の実験というものがどんなものかあたしはさっぱり知らないし中出も教えてくれないけど、三日徹夜したことがあると言っていたくらいだから、あたしにとっては何かすごいことをしていることは確かだと思う。


体壊さなきゃいいけど。中出は忙しいことを自分からは口にしないから心配だ。


そんなことを考えている間に山崎が何やらひたすら話しかけてきた気もするけど、あたしはそれをひたすらあしらった。


< 31 / 104 >

この作品をシェア

pagetop