ツンデレくんを呼んでみた。
「あー、ごめん。迷惑かけたね」

「いえ、別に。奈子さん、軽かったですし」

「そう」


ていうか、すごく今更だけど、あんたはいつからあたしを名前で呼ぶようになったんだ。


許可してねえぞ、あたし。


「ありがとう。あたし、帰るね」

「まだ寝てた方がいいですよ。まだふらつくかもしれませんよ。何なら、泊まってってもいいですし」

「そう言って、なんで君はあたしの上にいるのかな?」


山崎が見えた時から感じていた疑問をようやく口にできた。


あたしはベッドに仰向けになっていて、山崎はその上に馬乗りになっている。


それは、つまり。


「……どいてよ」

「好きな人が自分のベッドで寝てるのに、襲わないわけにはいきませんよ」


山崎の笑顔に悪寒が走った。


最初からこのつもりだったんだ。


やばい、これは確実にやばい。


顔の筋肉が引き攣る。頭の中で真っ赤な警報が鳴り響いている。


「んんっ!」


逃げる間もなく山崎の唇が降ってきた。唇に山崎の体温が伝わってくる。


やばい、これはやばい!


< 33 / 104 >

この作品をシェア

pagetop