ツンデレくんを呼んでみた。
山崎の舌があたしの唇を舐めて、荒々しく咥内に入ってくる。


「ふ、…………ゃっ」


かろうじて声を上げても、それは山崎の舌によってあっさりと消えてしまう。


逃げたいのに、山崎の体が覆いかぶさって身動きができない。


「すげえ……そそりますね、声」


唇を離した山崎が手の甲で濡れた口元を拭った。


中出の顔がぼんやりと浮かぶ。


…………中出。


山崎があたしの服の裾を掴んで一気に引き上げた。露になったブラも上にずらされる。


「や…………だ」


この至近距離でも山崎に聞こえただろうかというくらいのか細い声しか出なかった。体も動かせない。


酔いのせいか、それとも、別の何かか。


山崎が胸の突起に吸い付いた。反対の胸には手が伸びて揉まれる。


「あっ、やあぁ!」


ちゅ、ちゅ、と音を立てて吸われて、あたしはびくりと体が震えた。


唇で吸われて、舌で舐められる。


手で激しく揉まれて、突起を指で摘まれる。


「ぅあっ…………ん」


初めてなのに。嫌なのに、嫌なのに。


心ではそう叫んでいても体はしっかり反応してしまう自分を、この時初めて憎いと思った。


例え嫌な相手にされてもあたしは感じてしまうんだ。


体の奥がジンと疼いたのは気のせいにしたい。


唇を噛んで堪えてみるけど、絶え間なく与えられる刺激にどうしても抗えない。


否応なく唇の端から漏れる自分の声を、どこか冷めた頭であたしは聞いていた。


普段は低くて可愛いげがない自分の、艶っぽく高い女の声だった。


あたしってこんな声も出せるんだ。中出が聞いたらまた引かれちゃうかな。


目をつぶると中出の顔が浮かんだ。ぐっと唇を噛み締めて溢れる激情に耐える。


中出、ごめん。


ぼんやりとしてきて思考が止まりかけた頭で目の奥にいる中出に呼びかけた。


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