ツンデレくんを呼んでみた。
本当は山崎のことだって中出に知られたくなかった。それでも話さずにはいられなかった。


中出を騙すようなことはしたくない。でも自分を汚い人間だとは思われたくない(今回は最初から思われていたらしいけど)。


付き合っていなければ、こんなことがあっても中出に話すことはなかっただろう。どうか中出には伝わらないようにと願っていたはずだ。


付き合って近い存在だからこそ、話したのだ。一方で知られたくなかったと思う自分もいる。


中出は驚いてはいたけど、それ以上の感情はなかったはずだ。怒りも、悲しみも、何も。


中出に何も求めないと言ったくせに、あたしはずいぶん傲慢だ。


何か感情を抱えてほしかったのだ。


こんな自分が嫌になる。醜くて憎い。


山崎にあんなことをされて、しっかり感じた。なのに、それに対して中出が何か感情を持つことを期待する。


あたしは、なんて醜い。


あたしは嬉しかったんだろうか。今まで彼氏に手を出されずにいたから、無理やりにでも自分は女なのだと自覚させられて内心嬉しかったんじゃないだろうか。


あたしには中出がいればいいなんて、都合がよすぎる。


じわじわと目の奥が熱くなって涙が滲む。噛み締めた唇から嗚咽が漏れて慌てて口を手で押さえた。


悔しい。悲しい。腹が立つ。憎い。醜い。情けない。惨めだ。


いろんな感情が一気に湧いて涙が止まらない。


こんなあたしなんか、消えてしまえばいい。


中出、ごめん。こんなあたしが傍にいてごめん。


こんな自分なんか大嫌いだ。


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