ツンデレくんを呼んでみた。
「いや、だって、中出全然手出して来ないからあたしに興味ないのかなって。だったら、なんであたしと付き合ってんのかな……って」


ああ、だめだ。また泣けてきた。


涙がじわりと滲んで、こすった瞼がひりひりと痛む。


情緒不安定になっている。


「付き合ってなかったら、山崎のことも中出に話さなかったのに……」

「じゃあなんで話したん」

「あたしは隠せないよ。こんな近くにいて黙ったまま中出と一緒にいられない。いつか絶対ばれる」

「ばか正直やな」


暗闇の中、中出が笑った気がした。


涙を見られたくなくて目をこするけど、涙は後から後から溢れて止まらない。


やだ。止まってよ。


中出に嫌われたくないのに。


「嫌ってよ、中出。あたしを嫌って」

「何言ってん」

「一緒にいると辛いよ。こんなあたし、見られたくないの。あたしから離れてよ。嫌っていいから、もう傍にいないで……」


思っていることと真逆のことが口からぽんぽん出てくる。


嫌だ。嫌わないで。離れないで。ずっと傍にいて。


どうして本当に思っていることは簡単に口から出ないのだろう。


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