ツンデレくんを呼んでみた。
目をつぶる度にあの夜のことが思い出された。


山崎があたしに覆いかぶさって、無理やり唇が重なって、胸を舐められる。


その光景が何度も何度も蘇る。


それがひどく恐ろしいものに思えて、あたしは眠れなかった。


寝たら夢にまで出てきそうだと思った。


体が震えて、涙が止まらない。


嫌だ。嫌だ。来ないで。あたしに近づかないで。


感じないで。あたしは中出が好きなのに、他の男になんて感じないで。


山崎を思い出す度に、ピエロの仮面を被ったような顔が頭に浮かんだ。感情のない、不敵に笑ったような顔。


あたしの精神状態はひどく弱っていた。


一番助けが欲しいときに限って誰からも連絡は来ない。ただ山崎のメッセージだけが募っていく。


助けてなんて言えない。誰に言えばいいのかわからない。


あたしはただひたすら怯えて恐怖心に耐えるしかなかった。


何もできなかった。

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