ツンデレくんを呼んでみた。
それから一月は経っていなかったと思う。でも、二週間は確実に経っていた。


寝ているだけでも腹は減る。


気づいたら冷蔵庫の中はすっからかんで、ストックしておいた米もそろそろなくなりかけていた。


食べ物を買いに行かなければならない。


あたしは日が出ているうちにのろのろと外に出た。


スーパーに行って食材を買い込んだ。


食材を吟味している間、今まで大して気にも留めていなかった人の目が妙に気になった。特に男性とすれ違うと息が詰まるように苦しくなった。


怖い。


もともと人見知りで男が苦手なあたしは、ひょんなきっかけで男を恐怖心のフィルターを通して見ることしかできなくなっていた。


きっと油断して体を許しかけた罰だ。


この罰は、きっと完全に拭いきることは不可能だろう。


中出にも会ったら怖くなっちゃうのかな。


また迷惑をかけちゃうかな。


そう考えたら目の奥が熱くなって、慌ててぎゅっと目をつぶった。


だめだ、思考が暗い。


マフラーに顔を埋めて、人を気にしないように努めた。


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