ツンデレくんを呼んでみた。
目が覚めた。


目尻に熱いものを感じて指で触ってみたら、それは涙だった。


なんであたし、泣いてんだろ。


あたしは布団に包まって寝ていた。


寝起きのぼんやりとした頭で自分の体を触ってみる。ちゃんと服を着ていた。


……夢?


寝返りを打つ。外は真っ暗だった。


枕元の時計を確認すると、まだ夜明け前だった。


今のは、何だったんだろう。


夢だったのか、現実だったのか。


まだ頭がぼんやりとしていて区別がつかない。


あたしは深く息を吐いた。


夢だったとしたら、また中出に変態だって呆れられる。


やけにリアルだったなあと思った。


その証拠に体の芯がまだ少しだけ疼いている気がした。


「喘いでたな」


自分ではない声がしてどきりとした。


慌てて上半身だけ体を起こすと、中出がベッドに座り込んでスマホをいじっていて、中出の顔だけがぼんやりと明るく照らされていた。


中出も、ちゃんと服を着ていた。


「中出……」


中出はちらりとあたしを一瞥した。


昨日の夜、中出がふらっと家に来たけど、あたしはいつもより話せなかった。そして中出が風呂に入っている間に眠ってしまった。


そういえば、中出に山崎のことを話した日からあたし達はほとんど話していなかった。


いまだに山崎から連絡が来ることも話していない。


これ以上中出にめんどくさいと思われたくないと思った。


「あのさ、中出」

「何」

「昨日…………した?」

「いや」


即答だった。


だとしたら、あれは夢だったのか。


なぜか安心している自分がいた。


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