ツンデレくんを呼んでみた。
あたしは深呼吸をして文字入力画面に向き合った。
『返事をしなくてごめんなさい。
気持ちは嬉しいですがあたしには彼氏がいます。
あたしはその人が好きで、例え別れようともその人以外の人を好きになることはないと思います。
あたしはもうあなたと二人で会えません。ごめんなさい。』
何度も何度も文章を読み返した。嫌だという言葉以外で伝えられるあたしの精一杯の文章だった。
『送信』のボタンを押す。
あたしは大きく息を吐いた。
山崎がどう捉えるかはわからないけど、ひとまずこれで一安心。
「ずいぶん綺麗事ばっかやな」
「うわあっ!」
突然後ろから声がして、朝から大きい声を上げてしまった。
「……いつから起きてたの」
動悸が収まらない心臓のあたりを押さえていると、眼鏡をかけた中出が何も言わずに後ろから手を伸ばしてきてあたしの手からスマホを取り上げた。
「よくもまあ、こんな薄っぺらな文章が書けること。本当に文学部け?」
「文学部と文章のうまさは関係ないと思うけど」
「こんなん俺でも書けるわ。本音なんて一切書かれてない、形式上の謝罪ってやつな」
「し、仕方ないじゃん。本音なんて文字にできるわけない」
「ま、別にどうでもいいけど。俺には関係ねえし」
中出はそれから黙った。指をするすると動かしているあたり、あたしと山崎の過去のやり取りを見ているようだ。
別に中出に見られてまずいものはないと思って、あたしは中出が読み終えるまでそのままにしておいた。
中出が他人のことを気にかけるなんて珍しい。
『返事をしなくてごめんなさい。
気持ちは嬉しいですがあたしには彼氏がいます。
あたしはその人が好きで、例え別れようともその人以外の人を好きになることはないと思います。
あたしはもうあなたと二人で会えません。ごめんなさい。』
何度も何度も文章を読み返した。嫌だという言葉以外で伝えられるあたしの精一杯の文章だった。
『送信』のボタンを押す。
あたしは大きく息を吐いた。
山崎がどう捉えるかはわからないけど、ひとまずこれで一安心。
「ずいぶん綺麗事ばっかやな」
「うわあっ!」
突然後ろから声がして、朝から大きい声を上げてしまった。
「……いつから起きてたの」
動悸が収まらない心臓のあたりを押さえていると、眼鏡をかけた中出が何も言わずに後ろから手を伸ばしてきてあたしの手からスマホを取り上げた。
「よくもまあ、こんな薄っぺらな文章が書けること。本当に文学部け?」
「文学部と文章のうまさは関係ないと思うけど」
「こんなん俺でも書けるわ。本音なんて一切書かれてない、形式上の謝罪ってやつな」
「し、仕方ないじゃん。本音なんて文字にできるわけない」
「ま、別にどうでもいいけど。俺には関係ねえし」
中出はそれから黙った。指をするすると動かしているあたり、あたしと山崎の過去のやり取りを見ているようだ。
別に中出に見られてまずいものはないと思って、あたしは中出が読み終えるまでそのままにしておいた。
中出が他人のことを気にかけるなんて珍しい。