ツンデレくんを呼んでみた。
「……いつだっけ?」
「え?」
中出がスマホの画面から目を離さずに口を開いた。
「奈子が襲われたの」
「ああ、確か、一ヶ月も経ってないよ。先月の二十日前後……かな」
あたしは中出が持っているスマホを覗き込んでするすると画面を動かした。
「たぶん、この前の日……」
山崎から毎日来るようになった最初の日付を見つけた。
あたしは無意識に中出と体がくっついていることと、メッセージを読んでいる中出の反応が気になって心臓がいつもよりうるさかった。
中出の眼鏡の奥の瞳はずっと画面を見据えていた。しばらくして「ふうん」とだらけた返事と共にスマホが返ってきた。
「中出、今日授業は?」
「午後から。また寝る」
「……そう」
何も思わなかったんだろうな。客観的に見て、修羅場だなくらいは思ったかもしれないけど。
中出に話したことは別に何も思わないし、むしろ隠し事がなくなって心持ち気分は軽くなるけど、それでもなんとなくすっきりはしなかった。
山崎からの返事がまだだからだろうか。
これ以上関わる気はないからもういいけど。あっちがどう解釈しようが、あたしはもう山崎と関わりたくない。
「にしても、ずいぶん奈子に陶酔してんな」
中出が寝転びながらぼそりと呟いた。
「山崎が?」
「それ以外いないやろ。あんなことがあった後でも送ってくるって相当」
「……そうなのかな」
「それ以外考えられん。まじで奈子が好きなんやな」
「…………」
他人事のように言う中出は、いつも通りなのだけど、それでもやっぱり些細な苛立ちが募った。
「え?」
中出がスマホの画面から目を離さずに口を開いた。
「奈子が襲われたの」
「ああ、確か、一ヶ月も経ってないよ。先月の二十日前後……かな」
あたしは中出が持っているスマホを覗き込んでするすると画面を動かした。
「たぶん、この前の日……」
山崎から毎日来るようになった最初の日付を見つけた。
あたしは無意識に中出と体がくっついていることと、メッセージを読んでいる中出の反応が気になって心臓がいつもよりうるさかった。
中出の眼鏡の奥の瞳はずっと画面を見据えていた。しばらくして「ふうん」とだらけた返事と共にスマホが返ってきた。
「中出、今日授業は?」
「午後から。また寝る」
「……そう」
何も思わなかったんだろうな。客観的に見て、修羅場だなくらいは思ったかもしれないけど。
中出に話したことは別に何も思わないし、むしろ隠し事がなくなって心持ち気分は軽くなるけど、それでもなんとなくすっきりはしなかった。
山崎からの返事がまだだからだろうか。
これ以上関わる気はないからもういいけど。あっちがどう解釈しようが、あたしはもう山崎と関わりたくない。
「にしても、ずいぶん奈子に陶酔してんな」
中出が寝転びながらぼそりと呟いた。
「山崎が?」
「それ以外いないやろ。あんなことがあった後でも送ってくるって相当」
「……そうなのかな」
「それ以外考えられん。まじで奈子が好きなんやな」
「…………」
他人事のように言う中出は、いつも通りなのだけど、それでもやっぱり些細な苛立ちが募った。